モノノケハイ(3)「自転車」

10年近く乗っていた自転車をあるとき駅前に止めたまま忘れていたら、いつの間にか撤去されていた。

特別に愛着があったわけではないが、いつまでこの自転車に乗るのだろうと考えることはよくあったので、別れがこういう形だとは思わなくて、なんだかあっけなかった。

別れはいつも突然だ。

昨日まではあんなに楽しく話していたのに突然連絡が途絶えたり、思ってもみないタイミングで大切な仲間が辞めたり、「また会おう」という言葉にかこつけて、その「また」はもう来なかったりする。

だから、ほんとうに大切な人、両手か片手で数えられるぐらいのほんとうに、ほんとうに大切な人だけ離さないで幸せでいてほしいと願う。

でも、生きてさえすれば人生は何が起こるかわからない。

駅のホームで泣きながら別れたあいつとも50年後に老人ホームで再会するかもしれないし、億万長者になってテレビに映るかもしれないし、はたまた次の再会は刑務所での面会かもしれない。

だから、ちゃんとごはんを食べて寝て、お酒と煙草はほどほどに、車に轢かれないように横断歩道を渡ってねって。

生きていたらまたどこかで会えるかもしれないから。

(tanaka)

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