平井の本棚×哲学カフェアネックス「『さいごの散歩道』で対話する」

『さいごの散歩道』(雷鳥社刊)という介護殺人をテーマにした絵本。この原画展を7月中に開催しました。テーマは重いものの、とてもやさしいタッチの素敵な原画の数々。
 この原画展にあわせ、ケアの現場の方々を中心に、哲学カフェアネックス(東洋大学の公開講座の受講生の月例講座を企画している方々)のナビゲートで街場で対話する試み。とても熱のこもった意見交換となりました。雷鳥社の安在代表、イラストレーターの夜久かおりさんから感想が寄せられました(ウェブアップが遅くなりまして失礼しました)

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『介護される人の声に耳を傾けたい』

雷鳥社代表 安在美佐緒

要介護(要支援)認定者数約660万人、中高年のひきこもり約60万人、少子高齢化。介護周辺に明るい話題を見つけるのは簡単ではありません。2006年に京都で起こった介護殺人がもとになった絵本『さいごの散歩道』(長嶺超輝・著/夜久かおり・イラスト)。徘徊もはじまった認知症の母を抱え、ひとり息子はどうすればよかったのか――。

この本に書かれた母子の物語を追うことで、一人ひとりが、介護を我がことと考える、そうした機会を「平井の本棚×哲学カフェ」さんが作ってくださいました。多くの方は翌日から新しい一週間を迎える日曜の夕方、普通は重いテーマと向き合いたくないのではないかと思いましたが、多くの方にご参加いただきました。

お母様を自宅介護されていた方、90歳のお母様と同居していらっしゃる70歳の方、自分が老いたときに子どもに迷惑をかけないようにするにはとお考えの方、それから介護施設にお勤めの方や在宅介護のお仕事をされている方、8050問題を目の当たりにしているひきこもりのサポートをしている方、区議会議員……。

わたしが一番心に刺さったのは、「介護される人の気持ちは語られていない」という介護のお仕事をされている方の言葉でした。弊社刊の『さいごの散歩道』もしかり。介護していた息子の心情は描いてあるのですが、介護される母親の心情を想像して言葉で書くことはしていません。「お母さんは、心中したいと本当に思っていたのかなあ。もしかしたら生きていたかったのかも」と。

見渡せば、世の中に出ている介護関連本のほとんどは、介護する側のために書かれています。わたしたちは、目の前に迫る大きな波・介護問題をどう乗り切ったらいいか、ということばかり気になっています。それを乗りこなすのに必死です。認知症になったから、もう寝たきりだからと、介護されている方たちを後回しにしてしまっていた。いったいどう思っているんだろう、どうして欲しいのだろう。介護される人たちの声に耳を傾ける、自分にその視点が欠けていたことに気づかされました。

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「対話に参加して」

イラストレーター 夜久 かおり

『さいごの散歩道』をテーマとする対話に参加した。

ヌイグルミを持ってる人が喋るという進行ルールのもと、発言が進む。いざヌイグルミを持つと「あれ?結局なにを言おうとしたんだっけ⁈」 と慌ててしまったり、自分の思いを言葉にすることの難しさをひしひしと痛感しました。恥ずかしながら、”哲学”について疎い自分が参加して良いのだろうかと、すこし ビクビクしながら「哲学カフェ」に参加させていただきました。介護福祉について、絵本について皆さんから出てくるお話しは自分が想像していたよりもずっと深く、答えがとても遠くにあって掴めないモヤモヤとした感覚が残りました。でもそれを”考えるのを諦めない”という事がまずひとつ大事なんだ よ、とこの「哲学カフェ」で教えていただいたような気がします。今回参加させていただき、本当にありがとうございました。

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